やがて、一人で大半の配管工事が出来るようになってきました。 そして、水道屋さんとして誰もが、経験する一番緊張する瞬間があるのです。

それは、最終の器具も取り付けをして、通水に至る作業のときです。 新米であるればあるほど、自分のやってきた配管で本当に水が通ってくれるのか? 本当に繋がっているのか? どこかで詰まっていないか? スッポ抜けていたらどうしよう? などなど、いろいろと考えてしまうのです。 

いよいよ、バルブ操作をしてみると、 「水がはしる音が聞こえて来ます。 シュッツ、シュッツ、プシュー、ジュジュジュー、グルグルグルー・・・。」  とそのうちに静かになってきます。 無事に水が廻った証拠です。

この瞬間を何度も経験してみて、自分の腕に自信ができてくるのだと実感してきました。 やはり、経験と実績に裏づけされた自信は、どんな分野、どんな形であれ尊敬に値するものだと教えられた内容でした。

私にとっての初めての水道工事は、 「仕事を通じて教えられた自分への信頼。」 と表現したいと思います。それが一番の土台となったのでした。 この通水作業までを無事に、問題を起こすことなく終えたことにより、自分への信頼がまた1つ、また1つと積み重なっていくときの充実感、小さな積み重ねですが、一番大切なものではないでしょうか?

人生の中で、自分への信頼をこれからもなくすことなく、むしろ、積み重ねていける人生にできたら、何としあわせでようか?

それ以後、水道さんから出発した私の第2の人生は、今までのサラリーマンとは違った内容の人生に進んで行きつつあります。 今も現在進行形にして、暗中模索、失敗と後悔の連続なんですが、これからもどうぞ宜しく!

 「はじめての水道工事」 は 、これでおしまいです。